ご飯食べなと弟に言われる。先にお風呂に入ろうか迷ったが、時間がかかって飯が冷めてしまうかもしれないので、ご飯を食べることにした。テーブルを見る。プレートにコロッケ2個とサラダがのっている。
コロッケは片方が大きく、もう片方は小さなサイズのものだ。何回も食べたことがある。このコロッケは甘い。その芋の甘さが美味しくもあり、食べ進めると少々鬱陶しくも感じる。
机に置かれていた中濃ソースをコロッケにかける。いつもなら、まず何もかけないでコロッケを食べるのだが、これはもう食べたことがあるので、しない。
食べる。甘い中濃ソースに芋の甘さを感じるコロッケ。小学校の時給食で食べたような、優しい味である。美味しい。でも。机に置いてあるソースを確認する。シーザーサラダのソース、中濃ソース、そしてマヨネーズ。私は立ち上がり、冷蔵庫を開けた。ウスターソースがあるはずだ。そもそもずっとうちはウスターを使ってきたのに、何故中濃ソースがあるのだろう。
あった。
さぁ、ウスターソースをかけよう。変身するぞ。中濃ソースと比べると、ウスターソースは出が悪い。少し押すと、ポタポタと雫のように落ちる。でも強く押すとドバドバと急に出すぎてしまうので、注意してかける。
カリッ、もしくはサクッ。
ウスターソースをかけたコロッケにかぶりつく。
んん〜〜美味いい!!!!!!!即、白米をかきこむ。どうして飯はこんなにも美味しいのだろうか。今の俺には孤独のグルメの五郎さんの気持ちがわかる。握手したい。そして一緒に飯を味わいたい。
芋の甘さを感じる優しい味のコロッケに、酸味があって、まさにザ・ソースの強さを持ったウスターソース。鋭いソースによってコロッケの甘さが引き立つ!!!!!!
素晴らしいコントラスト。中濃ソースとコロッケが同じ甘さの友人(ダチ)ならば、ウスターソースとコロッケは犬猿の仲だけど事件を解決していく最強コンビ、といったところだろう。
おいしい…。
ガツガツ‼️
食べた。残るはもう1つのコロッケ。まず、これはコロッケなのだろうか、メンチカツという可能性もある。何もかけないまま食べてみる。これは、肉が入っている、メンチカツだ!!!!
さぁ。ウスターをかけ、いざ参らん。おいしい……。やはり肉…!肉は全てを解決する…!
人間も肉の塊ですから。
飯が終わってしまった。ご馳走様と言い、部屋に帰る。今日は体育祭の振り返り休日だった。私は今日も無駄にしてしまった…。しかし、たまには何も考えずに生きてもいいんじゃないかなと思えた。小市民のアニメを9話までDMMで見た。面白い。今、米澤さんの折れた竜骨も読んでいる。これも面白い。
たまには、娯楽に溺れてもいいんじゃないでしょうか…。
孤独のグルメは、疲れた現代社会に生きる我々に、"食"という日常的娯楽を大切にすることを伝えているのかもしれない。
・小市民シリーズ main theme
https://youtu.be/W-vR_Q1ZJKM?si=-dWHVLJ98Yi_ZqEz
良い。
・きみが大人になったんだ/理芽 笹川真生
https://youtu.be/nPN2mpKzEDI?si=3GSGR85RIxeWE3b2
笹川真生さん、あなたの音楽が好きです。昨日、これとシンクタンクを聞いて病んでいた。あとキタニを。
最近。なぁ、キタニ、米津は前髪もあげてあっち側に行っちゃったけど、キタニはずっとこっち側にいてくれるよな。孤独でモラトリアムでいてくれるよな、大人にならないよな?
って思っていたので刺さった。
キタニが幸せになってしまったら、孤独を、モラトリアムを手放して、やっぱり愛が1番です!とか言うようになったら生きていけない。
ヨルシカも、花譜ちゃんも、大人になってしまった。
俺にはまだ、キタニとカンザキさんと笹川真生さんと諭吉佳作さんが残っている。ずとまよも、オシャレに孤独と恋愛と若者を歌い続けている。
王道青春ラブコメが好きで清純ヒロインでウハウハしてるオタクも、いつかは王道じゃなくても、ギャルもNTRも受け入れられるようになってしまう。アニメの中の大学生に嫌悪感も抱かなくなり、静かに日々を送るようになってしまう。
でも、卯月コウは今でも学マスのPが大学生であることにブチ切れてくれる。この令和の世に。
村田沙耶香の信仰でも、そういう話があった。怒りが私達の共感だ。怒りを咲かすことが人生だと。
それは野蛮だ。穏やかでは無い。幸福では無い。俺達は孤独のグルメのようなささやかな幸せを大切にしなければいけないし、そんな人生を受け入れなければならないのだろう。
でも俺は、中濃ソースが机に出されていたとしても、冷蔵庫からウスターソースを出す。それでコロッケを食す。
そういうことをやめたくない。愛が1番の幸福だ、あらゆる作品が、大人がそう言ったって、私は不幸な作品を愛す。不安定で未完成な青春コンプをやめない。
美術の先生が好きだ。あの歳で、まだあの人は心を燃やしている。俺達に、絵を描くこととは何たるかを教えてくれる。あの人はまだ、満足していない。
『現状に満足する小市民を目指して何が悪い』
小市民 ではない小鳩は、そう言った。
小市民である私は、小市民を目指さない。
俺はまだ穏やかな老後なんて送りたくない!
精一杯足掻いて、グチャグチャになってから、最上級の孤独のグルメ的幸福を楽しみたいのである。