生活の日記

文章を書くのが好きな人間が、ただ吐き出しています。楽しいから書いています。

2024-1/9 母

お母さんに、シマエナガちゃん使わないの?と言われた。シマエナガちゃんと言うのは、お母さんがクリスマスプレゼントで私にくれた、シマエナガのコインケースだ。

私は、うーん、、と答えた。なぜなら、シマエナガは中身が100円1枚ぐらいしか入らない。そのくせ、白くて汚れが目立つし、カバンにつけるには少しデカイ。

捨てちゃうの?と言われた。そんなわけないよ、ママがくれたやつだもん。私は咄嗟にそう答えた。捨てちゃうの?と優しく呟くように言われた時、私は悲しくなった。それまでは正直使いどころがないし、私はシマエナガがすごく好きなわけでもなかったので、あんまり要らないなと思ってしまっていたのだが、お母さんが私にくれたものだと思い出した。

「でも学校って汚いから持って行きたくない」

学校なんて物理的にも精神的にも汚いし、大切なものなんて絶対に持って行きたくない。

「じゃあお家で飾って置く?」

「うーん、、」

それもなんだか違う気がした。使ってあげないと可哀想だと思った。

通学用のリュックではなく、普段使っているリュックにつけてみた。

「かわいいね」

お母さんがそう言った。私は、デカイな、もうちょっと小さかったら良かったのに、、と思ってしまった。私はまだ、シマエナガに対して愛着が芽生えていなかった。

その後、お母さんに何がきっかけだったのか、エササニ星の話をした。(確か、生まれ変わるなら何がいい?という話をしていて、まず私は他の惑星がいい、というところから、エササニの話になった。)この間、やりすぎ都市伝説を見ていて、エササニ、という言葉がなんとなくかわいいなぁと思い、気になって調べたのだ。

お母さんもそういう話が好きだし、面白いと感じるので、(もしもそうだったら面白いね、ワクワクするね、みたいな温度で)

ありえそうだね、面白いね!と感想を持ってくれた。

最近、人と話していて楽しいと感じたことがなかったので、なんだかそれがすごく嬉しかった。(そもそも人と話す機会が無いけど)

私は今、ベッドの淡いオレンジのライトだけを付けて、暖かい布団にくるまってこれを書いている。

私は今、お母さんのくれたシマエナガが見たい。お母さんはいつからか、私がシマエナガに似ていると言い出した。私は全くそうは思わなかった。その話をすると、弟もいつも全然似てないでしょと言った。でも母は、私がシマエナガに似ているという話を何回もする。

私がプレゼントを開けて、シマエナガのコインケースが出てきた時、お母さんは、「かわいい それ入ってきたんだ(店に) かわいいでしょ?」と言った。そうだ、シマエナガのコインケースは、デカいシマエナガのお腹の上辺りに、ミニシマエナガがついているのだが、さっき、小さい方が○○(私)で、大きい方が○○(母)。とも言っていた。

母はそういう人だ。私はそもそも、クリスマスプレゼントはいらないと言った。だから、何ももらわない気でいた。

それなのに、朝起きたらプレゼントの袋があった。それで少し驚いたのと同時に嬉しくなった。

私はお母さんの子供に生まれてきて良かったと思う。こんなに幸せなのに、こんなにも愛してもらえているのに、居場所がないだとか、愛されていないだとか、たまにそんなことを思ってしまって、申し訳ないなと思った。

大人になりたくない、この家を出たくない。こんなことを思ったのはいつぶりだろうか。私はいつも早く大人になりたかったし、早く一人暮らしがしたかった。早く遠くに行きたかった。

私は、1人なのだろう。お母さんに、悩みを話したことはない。本心でぶつかったことはない。反抗期なんてなかった。わかってほしいとも思わない。話を聞いて欲しいとも思わない。いくら言葉を尽くしたって、私は私で、母は母という人間で、分かり合えないところは必ずあるのだ。

それでも今日、久しぶりに話をして、嬉しかった。エササニ星の話は、本当は調べてすぐ誰かに言いたくて、お母さんに話そうかと思ったけれど、なんだか怖くて言えなかった。わかってもらえなぐらいなら、否定されるぐらいなら話さない方がマシだと、いつからか、私はそんな風に臆病になっていた。私の話なんて聞いても楽しくないしな、、という気持ちもあった。迷惑をかけるのが怖かったし、迷惑をかけちゃったなと少しでも感じると、ダメなのだ。それが大事な人であればあるほど苦しいし、迷惑なんてかけられない。

でも、話をするのって楽しいなと少し思った。こんなことで泣いてしまっている自分がくだらない。

お母さんの誕生日プレゼントには何をあげよう。そういえば、この間、クリスマスプレゼントみたいに置いて欲しいって言ってたな。じゃあ、次の誕生日はそうしよう。何か絵を描こうかな、それと手紙も。

傍に居てくれてありがとう、私の家族でいてくれてありがとう。

私がこの間泣いていた時に頭を撫でてくれてありがとう。全く、的外れな慰めをしていたけど。

私はシマエナガが少し好きになった。それに、あのシマエナガはこれからずっとリュックに付けて一緒に居ようと思った。